遺産整理

東京都内K様

ご依頼内容

「高崎市内で暮らしていた弟が亡くなったが、頻繁に連絡を取っていたわけではないので遺産の内容が把握できない。相続人は私を含めた姉妹3人と姪であるが、姉妹は3人とも高齢で、且つ2人は遠方に住んでいる。姪は仕事で平日動けないため諸々の手続が難しい。弟は生前、大家業を営んでいたが誰とどういう契約を締結しているのかも不明。また、今後の不動産の管理も難しいため売却したい。」
ご高齢の方がお亡くなりになられたケースで、その方に配偶者や子がおらず、兄弟姉妹が相続人になるというのはよくある話です。その際、兄弟姉妹もご高齢の場合が多いので、遺産が多かったり、会社を経営していたり、あるいは今回のように大家業を営んでいらっしゃる方だと、諸手続は非常に困難です。また、若くても平日に休みを何日も取得できない方もいらっしゃいます。そういった場合に相続に関するお手続を一括してご依頼いただくことがあります。

KTG高崎司法書士事務所で行った手続き

※手続きは同時進行で行ったため順番通りではありません。

事前相談

まずは提携している弁護士と一緒にお話しを伺い、概算費用をお伝えし、相続人全員から正式にご依頼をいただきました。もし、相続人間に争いがある場合などは、司法書士が手続を代理することは出来なくなります。

委任契約

相続関係に間違いがないかどうかを確認しなくてはなりませんので、戸籍の収集から始めました。相続関係に間違いがないことを確認して、相続人全員から委任契約書や重要事項説明書、委任状等にご署名・ご捺印をいただき、正式に手続に着手しました。※着手金は頂いておりません。

法定相続情報証明の作成

法定相続情報証明とは、戸籍等の必要書類を法務局に提出することにより、法務局が『相続関係に間違いは無いですよ』という趣旨の証明書を無料で発行してくれます。この証明書を発行してもらうことにより、金融機関や証券会社、不動産名義変更などの各種手続の際に毎回大量の戸籍を持ち運ばなくても、この証明書を提出すれば戸籍の代わりとして扱ってくれます。法務局が相続関係を証明してくれているのだから間違いはないだろうということです。また、それぞれの機関で戸籍を確認しなくて良いので手続の待ち時間も短縮出来ます。

遺言の有無の確認

確認しておくべきです。公正証書遺言の有無は委任状を頂いて司法書士が確認できます。

相続人の印鑑証明書取得

相続人の一人が印鑑カードが無いということで、役所で代わりに印鑑カードの再発行手続き。その際、本人が実印だと思っていた印鑑が、登録されいてる印影と異なることが発覚し印鑑登録の廃止と再度の印鑑登録も行いました。

名寄帳及び固定資産税の評価証明書取得

名寄帳は、亡くなられた方が所有していた不動産を把握するために取得します。また、固定資産税の評価証明書は、相続税が出るかどうかの計算や、不動産の名義変更登記に必要な書類です。

各金融機関の通帳の記帳

残高証明書の発行手続き。亡くなられた方にどれだけの預貯金があるのかを把握するのはもちろん、通帳の履歴から生前の契約状況を把握することが出来ます。今回は通帳の履歴から使用していないプロバイダ契約などを発見して即時解約することが出来ました。

敷金や賃料等、賃借人との契約状況の把握

なかなか連絡を取れない方がいらっしゃったり、家賃の受領方法が手渡しの場合に亡くなられた方が入院していた期間の家賃未納が発生している場合があります。

振込先の変更依頼

口座の名義人が亡くなったことが判明すると、金融機関の口座は凍結されるため、賃借人の方に家賃の振込先を変更してもらうようにお願いしなくてはなりません。また、今回は賃借人の中に生活保護を受給されている方がいらっしゃり、その方の家賃は役所から直接振り込まれていたため、役所に出向き振込先変更手続の委任状を受取り、賃借人の方にご署名・ご捺印をいただき再び役所に出向き委任状を提出するという手続きもありました。そして今回は不動産が売却できるまでの賃料管理は当事務所で行うことになりました。

毎月の家賃受領

家賃の振込が困難な方がいらっしゃったので毎月末に家賃の受領にお伺いしていました。

未納賃料の収受

賃料未納の方がいらっしゃいましたので、請求しました(詳細省略)

各種契約の解除・解約

銀行の引き落とし履歴や、郵便物などを頼りに継続中の契約を解除していきます。証券会社、保険会社、携帯会社、電話会社、カード会社、ガス会社、電気会社、水道局、商工会、介護施設、プロバイダ等、、、、なかなかのボリュームです。携帯会社は代理での解約が難しかったため、相続人の方にお願いしました。

遺産分割協議

遺産が把握出来たら、相続人の方々に遺産分割協議を行っていただきます。その協議に基づき当事務所で遺産分割協議書を作成してご署名・ご捺印をいただきます。

不動産名義変更

不動産を売却したいというのが相続人全員の総意であるとしても、いきなり亡くなられた方から第三者へ売買による名義変更をすることは認められておらず、一度は相続人名義へ変更する登記をしなくてはなりません。

金融機関口座の解約

意外に手続きに手間や時間がかかるのが、預貯金の解約手続きです。

数社の不動産会社への見積もり依頼

不動産を売却するにあたり、不動産会社に見積もり依頼を行いました。

税理士への準確定申告依頼

被相続人が準確定申告(死亡から4ヵ月以内)が必要な場合に該当する方だったので、亡くなられた方の生前の確定申告を長い期間担当されていた税理士へ依頼しました。

毎月の共済金の支払い

火災保険だけは不動産が売れるまで加入しているべきなので、解約が出来ませんでした。しかし月々の支払は被相続人以外の口座からの引落としや振込での支払いNGだったため、毎月持参が必要でした。

根抵当権の発覚

被相続人名義の不動産の一部に古い根抵当権が付いていることが発覚しました。金融機関に債務の存在を確認したところ、債務は完済済みということで根抵当権抹消の委任状を発行してもらい根抵当権抹消手続を行いました。

不動産売買の立合い

今回は、近隣の方が不動産をまとめて購入してくださることになりました。不動産会社の仲介がないため、売買契約書の作成や契約の立会い、融資金融機関との打合せや日程調整、決済日における立会いなど様々な手続きを当事務所で行わせていただきました。

その他の手続き

お寺の手続き方法の確認や、税務の税理士への依頼、第三者所有の物件の課税がされていたので納税者変更のための市役所への届出、市役所の方が行う測量の立会いや、土地家屋調査士への分筆依頼など、細かいことを含めると書ききれないほど沢山の手続が必要でした。

今回、ご依頼いただいた手続をご高齢の方や、仕事を持たれてる方が全て行うのは非常に困難です。もちろん、ご依頼者の方のお力添えが必要な場面はございますが、当事務所では可能な限りご依頼者の方に負担をかけないよう尽力しております。