家族信託(民事信託)契約の締結

高崎市内S様(父)・K様(長男)

ご依頼内容

S様「私は現在一人で生活をしており、しばしば息子達が面倒を見に来てくれます。70歳まで商売をしており、十分な蓄えはあるので老後の生活の心配はしておりませんが、銀行での振込手続きが最近はとても厳しくて、大変ですし煩わしいと感じます。また、相続税対策を今まで何もしていないのですが、税金がどれくらいかかるか知りたいです。数年前にNHKの番組で家族信託が取り上げられており、興味を持ったのですが、その時はまだ大丈夫だと思っておりました。最近明らかに物忘れが酷くなったことや、足の手術したことをきっかけに家族信託を検討しております。」

K様「父が申し上げたとおり、物忘れが酷くなっているのが不安です。足が悪いので家の中の移動も大変そうに見えます。父はこれまで贅沢の一つもしてこなかったので、これからは美味しいものを食べたり、旅行に行ったり、自宅の改修をしたり自分のためにお金を使って欲しいと思っています。」

KTG高崎司法書士事務所で行った手続きの流れ

  • 1.まずは、お父様と長男の方から色々とお話しを伺い、家族信託契約の締結がベストなのかどうかを検討しました。任意後見制度や遺言、生前贈与でも、お悩みが解決出来る可能性があるためです。
  • 2.詳しい資産状況が不明だったため、ご自宅にお伺いして様々な書類・資料を拝見させていただきました。資産は以下のとおりでした。
    • 預貯金(銀行口座が10口座程度)
    • 自宅の土地・建物
    • 売却を依頼しているが、長年売れない土地
    • 数多くの保険契約
  • 3.税理士の方など、提携している各専門家の方々の知恵をお借りして、無駄な保険契約の見直しや、相続税のシミュレーション、その他資産状況の検討や、更なるヒアリングを重ねた結果、家族信託契約締結のメリットが多いにあるという結論になり、手続きを進めていくことになりました。
  • 4.お父様には、長男の他に長女・二男がおります。長女は東京在住、二男は伊勢崎市在住と遠くなかったので、信託のための家族会議ということで皆様にお集まりいただき、司法書士もその場に同席させていただきました。信託では決めなくてはならないことが沢山あります。その決め事を巡り、将来的にトラブルになる可能性もあります。トラブル回避のためには、事前に何度も家族会議を開いて皆が納得する内容の契約を締結することがベストだと考えております(もちろん、関係性が悪く集まることが難しいケースもあります)
  • 5.受託者・受益者・残余財産の帰属者など詳細を決定していきます。その中で、ご家族の方々の様々な疑問点や不明点、不安点を解消していきました。
  • 6.契約内容がある程度決まったら、受託者(財産を託される方)の信託専用口座を開設(又は開設に向けての準備)をしていただきます。信託専用口座には、受託者個人の口座を使用する方法と、信託口口座という特殊口座を開設することが考えられますが、今回は依頼者のご要望で信託口口座を開設しました。地方金融機関では信託口口座開設に対応していない金融機関が殆どですので、今回はメガバンクにて口座開設となりました。信託口口座の開設には時間と手間がかかります。また、近隣にATMが無いなどの利便性も考慮して、どういった口座を開設するかを十分に検討する必要があります。ちなみに受託者個人の口座を使用する場合の手続きは、普通の銀行口座開設と何ら変わりありませんが、いくつか注意点があります。
  • 7.上記6と同時進行で公証役場に信託契約書の作成依頼をします。信託契約書は公正証書で作成しなくても、契約としては有効ですが、第三者への証明力・信用力や将来的なトラブルを避けるという点を考慮して、当事務所では公正証書での作成をおすすめしております。
  • 8.公証役場で契約書の準備が整ったら、いよいよ契約です。公証役場にて公証人立会いのもと、委託者・受託者が契約を締結します。今回は司法書士も同席させていただきました。
  • 9.契約書が無事に作成出来たら、信託口口座の開設と信託登記申請を行います。口座開設時はご本人に申込みをしていただく必要がありますが、それまでの金融機関とのやり取りなどは全て当事務所でサポートさせていただきます。
  • 10.信託登記手続が完了して、登記識別情報通知(昔で言うところの権利証)などを受託者の方にお渡しいたしました。
家族信託契約はとても複雑で難解です。ともすれば、家族間・親族間トラブルの種になりかねない契約です。当事務所では信託契約に向けた準備中はもちろんのこと、信託契約締結後のアフターフォローも行っております。