不動産名義変更(相続人16名・争い有り)

高崎市内Y様

ご依頼内容

「高崎市内に既に死亡している祖父名義の土地が有り、私が固定資産税を払い続けているが、使っていない土地なので馬鹿らしい。不動産売却をしたいがどうしたらいいか?」

KTG高崎司法書士事務所で行った手続きの流れ

  • 1.お亡くなりになられた方から、直接第三者への売却の登記手続きは出来ません。今回のご相談のケースでは、一度相続人への名義変更手続を行い、相続人から第三者への売却手続きを進めることになります。その旨を説明し、概算費用などもお伝えをして手続きのご依頼をいただくことになりました。
  • 2.早速、相続人調査を始めましたが想定外の事実が判明します。相談者の方は『相続人は5人程度』という認識でしたが、被相続人に子供が沢山おりました。この時点で相談者の方の想定よりも遥かに相続人の人数が多そうだということと、費用も大きく変わる可能性がある旨をお伝えしました。相続人の人数が多ければ多いほど遺産分割協議がまとまらない可能性が高まります。連絡が取れない方や、全く取り合ってもらえない方もいるかもしれません。
  • 3.それでも進めたいとのことでしたので、着手金を頂戴して相続人調査を進めました(複雑な事例以外では着手金は頂戴しておりません)戸籍取得にかかる実費だけで6万円程度の費用がかかり、最終的な相続人の人数は16名でした。
  • 4.相談者を除いた15名の相続人との遺産分割協議が必要になります。15名にまずは手紙を送り返事を待つことにしました。手紙の文章は相談者の方と確認をしながら作成しました。
  • 5.手紙をお送りしてから1週間くらいすると返事が返ってきはじめました。内容は様々です、、、、『そちらで好きにして』『関わりたくない』『判子代くらいは欲しい』『法定相続分相当の金銭が貰えるなら協力する』など。また、3分の1の方は返事をいただくことが出来なかったので手紙を再送。再送後も2名は返事をいただけなかったので3度目の手紙をお送りいたしました。
  • 6.もはや交渉必至です。司法書士はご依頼者の方の代理人として他の相続人と交渉することは出来ないので(弁護士法違反)、ご本人が直接交渉するか弁護士に依頼するしかない旨をお伝えいたしました。
  • 7.相談者の方は弁護士に依頼したいということで提携している弁護士を紹介して引継ぎを行いました。同時進行で手続きに協力してくださる方に対しては『相続分譲渡証明書』を作成・送付し印鑑証明書と併せてご返送いただくようお願いいたしました。
  • 8.ここからは法律事務所(弁護士)が行った手続きです。無償で協力することが出来ないという相続人の方々と交渉を進めます。この交渉次第で相続人の方々に支払う金額が随分と変わる可能性があります。また、同時進行で連絡が取れない2名に法律事務所から手紙をお送りしました。
  • 9.連絡が取れなかった2名のうち1名とは連絡が取れて手続きに協力していただくことが出来ました。そして、時間はかかりましたが、連絡が取れた方全てと交渉がまとまり、相談者の方が金銭を支払い、引換えに相続分譲渡証明書と印鑑証明書を頂戴することが出来ました。
  • 10.しかし、1名だけどうしても連絡が取れず、その方のお住まいが九州なので気軽に訪ねることも出来ません。相談者の方と話し合い遺産分割調停の申立を行うことにしました。遺産分割調停はザックリ言えば、裁判所で遺産に関する話し合いを行うという手続きです。もし話し合いがまとまらなかったり、相手方が出廷してくれないと遺産分割審判に移行します。これは、裁判のようなものなので、どんな形にせよ結論が出ます。
  • 11.裁判所から相手方に遺産分割調停の申立がなされた旨の連絡が送られます。ここでようやくその方から法律事務所にご連絡を頂くことが出来ました。調停申立書の内容(不動産を相談者が取得するという内容)に不満はないとのことでしたので、無事に調停が成立しました。
  • 12.弁護士から調停調書を預かりいよいよ名義変更手続きです。必要な書類を整えて法務局に登記申請。2日程度で名義変更が完了しました。
今回は、初めてご相談をいただいてから1年以上の時間がかかりました。要した費用も数百万単位でした。名義人の方がお亡くなりになられたら、早めに相続手続きを進めた方が良いと改めて思わされた事例でした。