KTGグループでは家族信託に積極的に取り組んでおります。家族信託のことなら家族信託専門士にご相談ください。

家族信託

「信託」という言葉で連想されるのは一般的には金融商品だと思います。

しかし「家族信託」は金融商品ではありません。

分かりやすく言うと『自分(委託者)の財産を、信頼出来る人(受託者)に託して管理してもらう』制度です。

「自分の財産くらい自分で管理出来る!」という方もいらっしゃると思います。遺言や生前贈与も同じですが、自分が元気なうちに将来何かあった時のことを考えるというのは難しいことですし、ましてや時間や費用をかけてまで具体的に行動を起こすとなると、億劫だと感じることは十分に理解出来ます。

認知症のリスク

しかしながら、現在日本では高齢者の4人に1人が認知症患者か、その前段階とされる軽度認知障害という実情があります。ご家族の方に苦労をかけたくないのであれば万が一の時の対策を講じるのは必要なことではないでしょうか。

例えば大家業を営んでおられる方いらっしゃるとします。マンションを所有している方などは、沢山の入居者の方々と定期的に賃貸借契約を締結しなくてはなりません。しかし、認知症により自分の意思を伝えることが出来なくなってしまうと、賃貸借契約を締結出来ないのはもちろん、その不動産を売ったり貸したりリフォームをすることが難しくなってしまいます。家族であっても勝手に契約をすることは出来ません。

結果として成年後見人の申立てなどを行い手続きを進めていくことになりますが、その場合もちろん費用もかかりますし、自分の好きなように財産を処分することは不可能になります。

家族信託の制度を利用すれば

あらかじめ自分の信頼出来る人と信託の契約を締結しておけば、不動産の賃料収入や売却した時に得られるお金の権利を自分に残したまま、契約等の署名・捺印の権限は信頼出来る人に託すことが可能です。
この契約を締結することにより、もし自分が認知症になってしまったとしても、契約の範囲内で信頼出来る人が自分のために不動産を適切に管理・処分してくれます。

また、預貯金においても信託契約を締結しておけば自分が認知症になってしまった時に、信頼出来る人が契約の範囲内で自由に管理することが出来ます。例えば「孫の大学の費用のために使って欲しい」とか「妻の介護費用・生活費用のために使って欲しい」といった要領です。

家族信託の活躍場面

上記の例以外にも家族信託という制度が活躍する場面は様々です。

  • 自分の遺産のことで遺された家族が揉めないように策を講じておきたい。
  • 高齢の妻が施設に入っているが、自分に何かあった場合の対策をしておきたい。
  • 子供が障害を持っているのだが、両親も高齢になり何か対策しなければならない。
  • 代表取締役兼大株主として今までやってきたが、子の世代への円滑な事業承継を考えている。
  • 不動産を共有名義で所有することによるトラブルに備えたい。

生前贈与との比較

生前贈与は贈与した後は完全に所有権が受贈者(贈与を受けた人)に移転するため、貰った財産をどのように使うかは受贈者の自由です。贈与した人には何の権利も無くなります。 家族信託では、財産を管理する権限を与えるだけですので、財産を託された人が自分勝手に何でもしていいわけではなく、あらかじめ契約で決めた目的の範囲内で管理・処分を行います。 また、生前贈与では贈与税、不動産取得税、登録免許税という税金がかかってきますが(控除制度有り)、家族信託では契約内容によっては贈与税や不動産取得税がかからない場合がありますし、登録免許税(名義変更の登記に必要な税金)も生前贈与より安く収めることが出来る場合もあります。

遺言との比較

遺言は自分が亡くなった後に自分の財産をどう処分するかを決めておく制度です。逆に言えば自分が生きている間は、認知症などになってしまってもご家族は自由に財産を扱う事が出来ないということです。 また、遺留分(一定の相続人に与えられている亡くなった人の財産を貰う権利)に関して争いが起こったり、遺言の効力に関してトラブルに発展するケースもあります。 信託では自分の財産がどのように扱われるのかを自らの目で確認することが出来ますし、また遺言では財産の貰い手を次の代までしか決めることが出来ませんが、信託ではさらに次の代まで決めることが出来ます。

安易な契約は禁物

家族(民事)信託は柔軟性があり、それぞれのニーズに合わせて自由に契約内容を決めることが出来るという点において、個々の事情に鑑みて様々な場面で使える制度です。しかし、使い方を間違えると本来発生するはずのなかったトラブル(税金トラブルや相続トラブル、資産凍結)が発生してしまうこともあります。故にリスクもしっかりと考慮し、じっくりとご自分に合ったプランを考えることが大切です。