元気なうちから自分が亡くなることを考えるのは非常に難しいことだと思います。しかしながら、最近巷では「終活」などという言葉も使われるようになり、残されたご遺族への思いやり・配慮が重要視される時代になりました。実際に遺産相続が原因で親族間に紛争が起こってしまうということは珍しい話ではありません。以下のような場合には遺言を残しておいた方が良い場合が多いです。

  • 妻が困らないように遺産を分けたい
  • 内縁の妻や親友に遺産を譲りたい
  • 子供同士の仲が悪い
  • 認知している子がいる
  • 遺産をあげたくない相続人がいる
  • 先妻の子が相続人になる

遺言にはいくつかの種類がありますので、それぞれの種類のメリット・デメリットを以下に記載します。

自筆証書遺言

遺言書を作成する人が遺言の全文・日付・氏名を自分で書いて、押印します

メリット
  • 作成費用がかからない
  • 好きな時に作成することができる。
  • 遺言の内容を変えたい時に、自分ですぐに書き直せる。
デメリット
 
  • 要件が厳しいので、記入漏れなどによって遺言が無効になってしまう可能性がある
  • 遺言書の保管が難しい(盗まれたり、書き換えられたり…)
  • 亡くなった時に遺言書が発見されないことがある。
  • 相続人が家庭裁判所に「検認」を請求しなくてはならない(「検認」は簡単に言えば裁判所によるチェックのようなイメージですが、比較的時間や手間がかかります)

※2020年7月10日から法務局で『自筆証書遺言書保管制度』が始まりました。

法務省ホームページ⇒ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

この制度を利用することにより、自筆証書遺言であっても検認手続が不要になります。また、遺言書の紛失や改ざんリスクも回避することが出来ます。費用に関しても、3,900円ですので非常に使いやすい制度だと思います。 ただし、気を付けなければならない点もあります。まず、遺言書保管制度を利用するには、定められた形式に従い遺言書を作成しなければなりません。そして、公証役場で作成する公正証書遺言と異なり、法務局が遺言内容を精査してくれるわけではないので、無効な遺言を作成してしまう可能性は残ります。その他にも、管轄の法務局でなければ申請出来ない点や、申請書を作成して本人が出頭して保管申請する必要があります(遺言書に登場する人物が多いと、申請書の記載事項のボリュームもなかなかのものになります) 遺言書保管制度をご利用される方のお手伝いも受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

公正証書遺言

遺言者が、証人(2人以上)と公証役場に行って、公証人(公証役場にいらっしゃる公務員です)に、どういう内容の遺言が作りたいかを口頭で伝えます。その内容を公証人が文章にして、遺言者と証人の前で読み上げてくれます。遺言者と証人がその内容でOKと判断すれば、遺言者・証人・公証人皆さんで署名押印をします。

メリット
  • 1.法律の専門家である公証人が作成に関与するので、無効な遺言の作成を回避できる。
  • 2.遺言書の原本が、公証役場で保管されるので紛失、破棄、偽造などを防ぐことができる。
  • 3.「検認」が必要ないので相続人の手間がかからない。
  • 4.自書できない人でも遺言書を作成することができる。
  • 5.相続人が遺言書の有無を簡単に調査することができる。
デメリット
  • 遺言書を作成するのに、公証人手数料がかかる。
  • 公証人役場に赴かなくてはならない。

秘密証書遺言

遺言者が遺言書に署名押印をして、それを封書に入れます。 遺言書に押した印鑑の印章で封印をして、公証人と証人2人以上の立会いのもとで封書を提出して、自分の遺言書である旨(他人に遺言書を作成してもらった場合はその筆記者の氏名及び住所)を申述します。 公証人が封紙に遺言者の申述を記載して、遺言者・公証人・証人皆さんで封紙に署名押印します。

メリット
  • 公正証書遺言より安い公証人手数料で遺言書を作成することができる。
  • 相続人が遺言書の有無を簡単に調査することができる。
デメリット
  • 公正証書遺言ほどではないが、公証人手数料を負担しなければならない。
  • 遺言書を自ら保管又は第三者に委託する必要がある。
  • 公証人役場に赴かなくてはならない。
  • 相続人が家庭裁判所に「検認」を請求しなくてはならない

「どのような遺言を書けば良いのか」また「どの種類の遺言を作れば良いのか」など悩むこともあると思います。私共はそんな悩みを解決すると共に、お客様に最適なアドバイスをさせていただくことを心掛けております。